FC2ブログ

宇宙戦艦ヤマト de 絵日記

宇宙戦艦ヤマトのイラスト・漫画・感想。40代反抗期も終焉、こんにちは更年期!

誰のためでもいいじゃないか (分岐ルートA)-(2)

2015.07.22
誰のためでもいいじゃないか
   ~みんなソノ気でいればいい~(2)


★『宇宙戦艦ヤマトde絵日記~出張中』(2013.10発行)掲載の同タイトルSSのA分岐ルート
(R-18:危険度★★☆☆☆)

(1)の続き

あんまり過度に期待していただくのもナニなので、サッサとUP。
A分岐ってことは、当然ラストの異なるB分岐(★★★☆☆)があるのですが、それはまた今度(マジか?)という事で、まずは原文準拠のものから。
 ◆ ◆ ◆


シャワーを浴び、備え付けの真っ白なタオル地のガウンを羽織ったユキは、窓際に向かい合って並べられているソファの片側に軽く腰かけ、古代が出てくるのを待っていた。
窓一面に広がる東京湾の夜景は、明るい所と暗い所がハッキリとわかれており、まだ地球が復興途上であるという事を如実に示している。

手短にシャワーを済ませた古代は、ユキの存在を遠目に確認すると、室内の出入り口付近の棚に用意されていた2つのグラスに氷を入れ、水をそそいだ。

「怒って帰ったかと思った」

片方のグラスを彼女に差出しながら、ソファの隣に腰を下ろす。

「家には連絡した?」
「ええ」

ユキは夜景に目を向けたまま古代から受け取ったグラスを傾け、冷水を一気に喉に流し込んだ。ガウンの袖が触れるか触れないかという互いの距離に反して、二人の心の距離をやや遠く感じる。

通信に出た土方夫人は “20才過ぎの自立した大人の婚約者同士なのだから“と言ってアッサリと古代と共に一晩を過ごすことを認めた。

今ここで、自分が帰らなくてはならない理由は、ない。
でも・・・

瞳と心が揺らぐ。


「後で土方司令に怒られるかな…と言っても僕は明日には宇宙だけど」
「ズルイのね、古代君」

軽くコチラを睨んでいるであろうユキの視線を感じながら、古代もグラスを空ける。

ユキは5口で4.5秒、俺は4口で3.5秒。
口腔内の容量、喉の直径、息継ぎの長さ・・・華奢な見た目と実際がどのくらい男の自分と異なるのか、そしてその限界、臨界点・・・興味あるね。

いつか、教えて貰うよ----。

 ◆ ◆ ◆

古代はグラスをテーブルに置くと、両手をユキの腰に回し引き寄せた。
視線を絡ませる。
部屋に入って目を合わせたのは、古代がシャワーに入る前、そして今。

「僕は・・・ズルくない」
「嘘・・・」

そうよ、古代君はいつもズルいのよ。
怒って帰ったかと思った?
あの目は完全に「カ・エ・ル・ナ」って言っていたじゃない。
優しいふりして、選択肢なんて初めから与える気なんてないんだわ。

「ズルイのも嘘をついているのも、君だ」
「何のこと?」

「心当たりがないとは言わせないよ。僕に言わなきゃいけないことがあるハズだ」
「・・・」

「最近ずっとユキは変だよ。時々一人で物憂げな顔をしている。イスカンダルへの旅で宇宙人かと疑われていた時みたいに。あの旅の後、僕達はずっとお互いを確かめ合って過ごしてきたつもりだったけど……」

「気のせいよ」
ユキは古代の言葉を遮ってその両の手の拘束から逃れようとするが、それを簡単に許す古代ではない。

「駄目だ…ちゃんと答えて」
きつく抱きしめられたまま、再び浴びせられる力強い眼差し。
わずか数秒が苦しくて苦しくて、息が詰まりそうだ。
逃げられない…と悟ったユキは、観念して目を瞑るとふぅと息を吐いた。

「古代君…私ね…何だか…その…近い将来…凄く不吉なことが起こる予感が…ずっとしているの……」
「……それって…もしかして“ガトランティスが、ヤマトの封印された波動砲を求めて地球まで攻めてくる”とかいう司令部内での噂?」

「太陽系のすぐ近くでガトランティスの偵察機を見たっていう話も聞くわ…噂じゃない、きっと」
「まさか?まだあれから一年も経ってないじゃないか…。波動砲の技術自体はそもそもイスカンダルが開発したものだし、ガミラスだってまだ保有はしている。あるかどうかわからないたった一隻の艦のためにいきなり銀河系の辺境の地球に侵攻なんて・・・確率的には低いと思うよ」

「でも…コワイの。怖くて、怖くて…考えただけで胸が苦しくなって…古代君とまた離ればなれになるのも、不安で…」
「大丈夫だよ―――」

「でも…」
「大丈夫―――」

「頭ではそう思ってるんだけど…自分ではどうにも…ならないの…。毎晩…夢に見るの……」
「どうしてもっと早く……」

「ごめんね、古代君。…でも言ってしまったら…現実になってしまいそうで……言えなかったの」
古代は青白い顔で震えるユキを腕の中に引きよせると、目を瞑りその形の良い小さな頭をゆっくりと撫でた。

「話してくれて、ありがとう……」
頭上から降りてくる、愛おしい人の言葉。

「そのユキの不安を全部…僕で埋めたい…満たしたいって……さっきはそう思ったんだけど……それは傲慢な考えだったかもしれない―――」
顔をあげたユキの瞳に、ちょっと恥ずかしそうな古代の瞳が映りこむ。

「古代君……」
「ユキ…ちょっと残念だけど、今晩は服を着て帰ろうか」

「何よそれ…土方のオジザマに逆に怒られるわよ?ユキに恥をかかせたなって」
「ハハハ、それもそうかもな。でも、同じ怒られるなら、君を大事にする方を僕は選びたい」

「んもう…少しソノ気になってたのに」
「そんな事言って・・・バカだよ、君は」

ユキの頬にかかる柔らかな髪が大きな手でかき上げられ、額に唇がそっと触れる。

「失礼ね、一緒にしないでよ。古代君のバカは生まれつきだけど、私のバカは……古代君がいなきゃ発動しないんだから」
「気持ちはわかるけど、あんまり嬉しくないよソレ…」

イスカンダルへの航海でユキがやらかした(?)数々の無茶ぶりを思い出すと背筋が凍る。ホテルの一室で二人きりという非常に危険な状況下において、アリエナイ程の萎え、実にナイスだユキ。

古代は苦笑いを浮かべながらユキの膝に手を回し、彼女をヒョイと抱え上げた。
そしてゆっくりと窓際に歩み寄ると、彼女を開放しやさしく肩を抱く。

眼下に拡がる一面の闇と、そこに浮かぶ無数の小さな灯。
宇宙の星の海には到底及ぶべくもない、壊れた宝石箱のようにまばらな光景。
決して美しいとは言えないが、多くの犠牲を払ってやっと手に入れた平和の証だ。
赤く焼けただれた地球なんて、もう永遠に見なくていい。

「ユキ…いい機会だから約束するよ。今度の航海…いやこの先の将来、何があっても…僕は必ず君の元へ戻ってくる」
「うん」

「だから…ね…あんまり無茶はしないで」
「……本当に?じゃあ、約束よ。守らなかったら許さないんだから」

ユキが差し出した小指に、古代は自らの指をゆっくりと絡ませた。
彼女の瞳にいつもの輝きが戻り、笑顔がこぼれる。
ああ、やっぱりユキの笑顔はいいな……古代もいつの間にか笑顔になっていた。

 ◆ ◆ ◆

「あ、いけない!もうこんな時間。古代君は明日出航ですものね。早く帰って寝なくちゃ!そうだ!あなたは遠慮してたけど、私、やっぱり宇宙港にお見送りに行きたい!」
「あ~ハイハイ。急に元気だな。でも、ユキが元気になってくれたなら、僕も安心して宇宙に行けるから、そんな無理に早起きして見送りなんかしてくれなくていいよ」
「いいえ、行きます。真っ赤なスカーフ、振りに行かせていただきます」

「スカーフは取らなくていいよ。」
「どうして?スカーフ振るのは離れ離れの恋人たちのロマンじゃない…黄色いハンカチじゃダメでしょって……あっ!」
「ごめん…思いっ切り痕つけちゃった…」
「いやん…もう!」
真っ赤になって首筋を押さえながら睨むユキが、モーレツに愛おしい。
「俺が宇宙に行ってる間、ずっと付いてたらいいのに」
「古代君のバカ。」
「男のロマン♪と呼んで下さい」
「バカ…」
古代は、ポカポカと胸を叩くユキの手を取ると、そのままの勢いで彼女の唇を塞いだ。

「行ってくるよ。ユキ」
「いってらっしゃい」
互いの額をコツンと合わせ囁くユキに、古代が応える。

「必ず帰るから―――」


翌日の未明、ユキは宇宙港へ見送りに行くかわりに英雄の丘に一人立った。
そして日の出の太陽に向かって発進する艦に向かって、真っ赤なスカーフを振り続けた。

艦影が青い空に消えて、見えなくなるまで―――。

2015.7.22
(2013.10発行の同人誌掲載分を大幅加筆修正)
ようこん


(あとがき)
古代進という男のストイックさから漂う色気と情けなさ&放っておけない可愛らしさ・・・を追及した作品・・・のつもりだったのですが、一度読んでる方は面倒だったと思います。お付き合い頂きありがとうございました。

正直言って後半の良い子な部分はやや蛇足です。
中盤の緊張感あふれる男女の駆け引きというか、探り合い、そういうのが書いてて一番楽しいな~笑

関連記事

テーマ:宇宙戦艦ヤマト2199 - ジャンル:アニメ・コミック

CATEGORY : 妄想SS TB : (0) CM : (5)

この記事に対するコメント

えへ(〃ω〃)
夜中の3時頃見つけて読んでコメしたのに
コメされてない
また多分パスワード入力のあたりで
突っ伏して寝たんだな…私…( ̄△ ̄)

…て事で早々とアップありがとうございます
妄想する暇もなかったでーす(^^)/(笑)

古代くん堪えましたね( ̄∇ ̄;)
ユキちゃんもどこまで覚悟してたかな

残念ではあるけど(笑)そうなるまでの
焦れったさが私も大好き
私もとうとう書きましたがずっと
書かなかっのはそれがたまらなく
好きだからです(*^^*)

ちなみにまたいずれその状態にシレッと
戻るもんね( ̄∇ ̄)


    いつか、教えて貰うよ----。


結局この状態がいいんだなあ…(〃ω〃)
ワクワクしますね
ドキドキしますね

またいつか読ませて下さい
ようこんさまの書くSS大好きなんで♥
特にセリフや心情のとこですかね
掛け合いがたまらないです(≧ω≦)
【2015/07/22 08:21】 URL | みすず #- [ 編集]

Re: えへ(〃ω〃)
MY古代君は手が早いのにストイックです(汗
プロポーズ、結婚、初夜の三大セットは、そう何回も書くわけにはいかないので、
いつか書く(描く)だろうけど、それ全部やっちゃったら終り?っていうのもありますね。
私はプロポーズ漫画と結婚式のイラストはもうやっちゃったので、残りはやっぱ初めて物語?になるなぁ。
終り近いがなwww(汗)
いつか教えて・・・の所で(1)の締めにするか悩んだのですが、余りにワルなのでやめました。
情景描写はヘタなので、台詞や心情、掛け合い部分を褒めて頂き感謝。ありがとうございます。
【2015/07/22 10:10】 URL | ようこん #- [ 編集]

終わりが近い?
終わりが近い( ̄△ ̄)?

ノンノンノーン(≧◇≦)♪
我ら『連載』してるワケではないので
戻ろうと思えば戻れますよ(笑)?

私は戻る~( ̄∇ ̄)
自分はR書いたら頭が相当疲労したし
そこまでのプロセスの方が本当は好き♥

平気で帰還直後や復路…まさかまさかの
往路にまでもどるかもしれませんよ(笑)

ようこんさまの作品はその時その時の
シチュエーションを素直に楽しめるので
純情時代に戻っても違和感ないでーす(^^)/

むしろ見たい!そして読みたい!

ヒラメキが続く限りよろしくお願いします
【2015/07/22 11:55】 URL | みすず #- [ 編集]

Re: 終わりが近い?
往路かー最後に往路描いたのいつだろ、思い出せない(汗
2013年の前半あたりに14話と16話あたり書いて終わってるような気がします。
R、左手がここで右手が・・・って細かく矛盾なく考えて描写しようとすると疲れますよね。
(え、そこじゃない?)
そろそろ帰還後も飽きてきたし、
ヤマケットの本は方舟のギャグともう一つを何にしようかな~と悩んでいます。
七色でシリアス描きたいけど長くなっちゃうし、難しいわ~^^
【2015/07/22 15:34】 URL | ようこん #- [ 編集]

Re: ありがとうございました!!
MT様
お子様、まだ小さくていらっしゃるのでしょうか。可愛らしいです^^
ここ3年でウチの子は随分成長してしまいました・・・。
バーバー平田パート、これでもかという色々古代君バストアップ攻撃でしたね。
描いてて楽ちんでした(手ぬき~笑)
兄さん漫画はこんな風に都合よく使っていいのでだろうか?と悩みましたが、受け入れていただけたようで良かったです。
ではでは、感想ありがとうございました。


【2015/07/28 18:54】 URL | ようこん #- [ 編集]


この記事に対するコメントの投稿
















この記事に対するトラックバック

トラックバックURL
→http://yokon2199.blog.fc2.com/tb.php/744-df577dd9
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
メールフォーム

お名前:
メールアドレス:
本文:

※3日以上返信がない場合は、再度送信下さい。

ご来訪者数

カレンダー

09 | 2019/10 | 11
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -

最新記事
最新コメント
カテゴリ
リンク(ヤマト関連)
プロフィール

ようこん

Author:ようこん
漫画とお絵かきが大好き。現在『宇宙戦艦ヤマト』『銀河鉄道物語』他松本零士作品がマイブーム。

月別アーカイブ
RSSリンクの表示
検索フォーム

QRコード

QR